培地サンプル中の事前に選んだ測定対象目的代謝物を網羅的に定量します

計測技術技術の役割  技術の概要  活用例  利用方法  コンタクト先

計測技術技術の役割

培地成分ターゲット計測技術の役割は、培養過程における細胞外成分の経時変化 を定量的に把握することにあります。具体的には、糖類 (15種)、有機酸 (20種)、アミノ酸 (20種以上)、さらにNa+、NH4+、PO43-などの各種無機イオンを高精度に定量します。これにより、代謝系における物質収支に基づいて、特定の基質の枯渇や阻害物質の蓄積といった「培養の良し悪し」を科学的に評価することが可能となります。

本技術は、培養状態をモニタリングするだけでなく、培地組成や培養条件の最適化、さらには培養戦略の迅速な意思決定を支援します。また、取得した定量データは、 反応速度論モデルや代謝フラックス解析における境界条件として活用できるため、実験室規模から産業規模へのスケールアップに伴う熱力学的・流体力学的環境の変化を考慮した解析が可能となります。その結果、反応速度論に基づく最適な生産条件の設計を支援し、カーボンリサイクルの実現に向けた高効率な物質生産を支える基盤技術として期待されます。

技術の概要

培地成分ターゲット計測技術では、培地成分および微生物が細胞内で代謝し細胞外へ輩出した代謝物を測定対象とします。本技術では、糖類、アミノ酸、有機酸などの主要代謝物を対象に、高い定量性と再現性を有するマルチHPLC分析システムを構築し、培養環境下における細胞外・細胞内の代謝動態を高精度に評価します。特に、増殖非依存型バイオプロセスでは、細胞増殖と代謝活性が乖離するため、培地成分と細胞内代謝の動的関係を定量的に把握することが重要であり、本技術により代謝フラックスの変化を高解像度で評価することが可能となります。

本拠点の強みは、複数の分離モードを統合したマルチHPLC分析システムにより、培地成分および細胞外代謝物を網羅的かつ高精度に定量できる点にあります。異なる極性・化学特性を有する代謝物群をマルチHPLC分析システムで解析し、高い再現性 (相対標準偏差0.3–5.3%) を実現しています。これにより、培地条件の変化に応答した代謝ネットワークの再編成を定量的に捉え、生産性向上に向けた培地設計およびプロセス最適化を加速します。

活用例

油糧酵母 Lipomyces starkeyi を対象に、培地成分ターゲット計測技術を活用したバイオプロセス最適化を実施しました。本菌は細胞増殖と油脂生産が分離した増殖非連動型の代謝特性を有するため、高密度培養後に油脂生産へ移行する二段階培養が重要となります。

培地中の糖・窒素および無機イオンを定量的にモニタリングした結果、窒素源が残存している条件下においても、リン酸の枯渇が細胞増殖の停止を誘導することを明らかにしました。この知見に基づいてリン酸濃度を最適化したところ、細胞密度は従来条件の約4倍まで向上しました。さらに、その後の窒素制限により油脂生産を効率的に誘導することで、63.4 g/Lという高い油脂生産を達成しました。

本研究により、培地成分ターゲット計測技術が、培地設計に基づく代謝制御と生産性向上を実現するための有効な基盤技術であることが実証されました。

利用方法

本技術は基礎技術の開発を完了し、現在、有用性検証の段階にあります。本技術の活用をご希望される企業・研究機関の皆様には、共同研究を通じて実証・検証を進め、それぞれの研究開発やバイオプロセスへの適用を支援いたします。

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