排気ガス中の揮発成分をリアルタイムに定量します

計測技術の役割  技術の概要  利用方法  コンタクト先

計測技術の役割

培養排気ガス分析技術は、排気ガス中の揮発成分をリアルタイムに定量する技術を開発することで、バイオプロセスの発酵の状態を判別する新たな手法へと繋げます。

バイオモノづくりプロセスでは巨大な発酵タンクで微生物を培養します。同じような操作で発酵を行っても、毎回同じ結果にならないという課題があります。これは、生き物である微生物の調子が突然悪くなることがあるためです。そこで、発酵状態をモニタリングするために、さまざまなセンサーが発酵タンクに取り付けられていますが、バイオプロセスの発酵の良しあしを判別するにはデータが不足しています。

一方、バイオモノづくりプロセスでは発酵タンクから排気ガスが出ており、昔から熟練の技術者はその匂いから発酵状態がわかるといわれてきました。これは、排気ガス中に培地由来の揮発成分が含まれているからです。そこで、排気ガス中の揮発成分を検出、定量できれば、バイオプロセスの発酵の良しあしをリアルタイムに判別するための新しいデータになると期待されます。

図 培養排気ガスVOCプロファイルを説明変数とした培養状態予測の概念図

技術の概要

培養排気ガス分析技術の測定対象は、排気ガス中に含まれる揮発物質です。揮発物質の分析は質量分析装置が得意としています。しかし、発酵を実施する現場の工場で利用するには質量分析装置の小型化が求められます。また、微量の揮発物質を検出するには、イオン化法を工夫することで、検出感度を向上させる必要があります。さらに、排気ガス中の揮発成分をリアルタイムで質量分析装置に導入する方法を開発する必要があります。

本拠点の強みは、排気ガス中に含まれる揮発物質の検出技術開発にいち早く取り組み、開発した技術を特許化している点です。装置メーカーと共同研究を行い、小型質量分析装置の最適化を進めています。また、光イオン化法をチューニングすることで、高感度化を実現しています。また、排気ガス中の揮発成分を固相担体で捕集後、質量分析装置に導入する新たなリアルタイム測定技術を開発しました。また、モデル酵母、大腸菌培養の揮発性成分から目的物の生産量をモニタリング可能なことを実証しています。

培養排気ガス分析による培養モニタリングが可能なことを確認しました。蛍光タンパク質を生産するモデル大腸菌株(大腸菌BL21(DE3)GFP発現株)をジャー培養し、経時的に揮発成分を回収しました。揮発成分をGC-MSで分析し多数の代謝物シグナル強度のデータを得ました。これを説明変数として、大腸菌のGFP生産量を目的変数とする回帰分析を行ったところ、8つのバイオマーカー成分の量から、GFP生産量を精度よく予測可能な式を得ることができました。この結果は、排気ガス中の揮発成分から、培養モニタリングが可能なことを示しています。上記に加えて,油脂生産酵母培養における油脂生産量も同様にVOCプロファイルを用いて回帰予測に成功しています.現在は、バイオマーカー成分を高感度検出する小型質量分析装置と、揮発成分のリアルタイムサンプリング技術の開発を進めています。

利用方法

本技術は基礎技術開発にめどが立ち、有用性検証に進む段階にあります。本技術を活用したい企業、研究機関の皆様は、検証研究を進めることで本技術を導入できるようになります。